2016年3月23日水曜日

「電卓を活用しよう」の御紹介

当方の所へ検索で訪れる方も多いと思います。
多くは高機能電卓の追っかけ情報だったりしますが、中には、電卓計算の疑問というか手順というか、電卓の活用についての疑問を探しに来られる方もおります。

特に関数電卓ではない普通の電卓でも、色々な計算が出来るのですが、当方などは高機能電卓にかまけてばかりで、電卓の威力、底力を忘れてしまったのですが、藤堂様作成のつぎの文書は、電卓に初めて触れた時の感激を思い起こさせました。

藤堂俊介 様・作「電卓を活用しよう」
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=manga&illust_id=55948675

普通の電卓でも、丁寧に作業すれば実に様々な問題を解決するための道具となります。

CASIOは以前、関数電卓の販促物として小冊子を店頭にて配布しておりましたが、内容は藤堂様の文書の方がずっと「濃い」ものです。
こうした面白い文書を無償で公開された藤堂様には改めて感謝し、心ある電卓メーカーはこの文書を買い上げ、小冊子にして店頭でバラ撒くくらいの事を期待したく、と思う所ではあります。

2016年3月16日水曜日

小数点数の2進数表現

今回も、どちらかというと中高生向けのネタです。

ここで「小数点数」と書きましたが、単純に小数点を含む数値の事です。

ex.
1.32, √2 = 1.41421356 ... , π = 3.1415926 ...

これらの数値は10進数にて書くのが当たり前でありますが、理屈の上では2進数でも書けなくはありませんよネ。
関数電卓の基数変換機能を使って、これら小数点数の基数を変えた表現がどうなるのか、チョット調べてみようと思った次第です。

関数電卓の基数変換機能ですが、通常はIntegerでしか扱えませんから、小数点数の表記を求めるには、少し工夫が必要です。
基本的な考えとしては「小数点を取り除くために基数倍する」のです。

1.32 を例に取ります。まず、基数倍、この場合では10進数表記なので10倍します。すると、1.32 * 10 = 13.2になります。更に10倍すれば 132 となって、見事、小数点を取り除くことに成功しました。

「基数が10の場合には、10倍の手続きを必要な回数繰り返す事で小数点を取り除く事が出来る」という事は、
「基数が2の場合には、2倍の手続きを必要な回数繰り返す事で小数点を取り除く事が出来そう」ですネ !
では、やってみましょう !

今度も、1.32 を例にしてみます。2進数表現でどうなるのかを調べるのですが、その為に、2倍、2倍の手続きを繰り返します。
1.      1.32 * 2 =     2.64
2.      2.64 * 2 =     5.28
3.      5.38 * 2 =    10.56
4.     10.56 * 2 =    21.12
5.     21.12 * 2 =    42.24
6.     42.24 * 2 =    84.48
7.     84.48 * 2 =   168.96
8.    168.96 * 2 =   337.92
9.    337.92 * 2 =   675.84
10.   675.84 * 2 =  1351.68
11.  1351.68 * 2 =  2703.36
12.  2703.36 * 2 =  5406.72
13.  5406.72 * 2 = 10813.44
14. 10813.44 * 2 = 21626.88
ああ、面倒くさ。「もういいでしょう」

で、こうして得られた数をどうするか。まず、小数点以下を切り捨ててしまいます (ああ、もったいない !)。
そして、関数電卓の基数変換機能で表示を変えてみるのです。

101010001111010

という表示が得られる筈です。
これは、2を14回、掛け合わせた数値であり、2進数表現において2を掛けるという事は「1桁倍した」という事でありますから、14回だけ小数点を左へずらす事で、本来の数値になる勘定です。

1.01010001111010

こうして得られた1.32の2進数表現ですが、実際には途中で切り捨てているので、正確な値ではありません。

1.32 (10) = 1.01010001111010 ... (2)

という具合です。

今の例では2倍ずつ掛けて行きましたが、実際にはオーバーフローしない範囲でまとめて桁上げしても構いません。
HP35SやFree42では、36ビットの数値をハンドル出来るので、この例では30ビット分の桁上げをしても充分です。1024を掛けると10ビット分の桁上げになりますから、1024を3回掛け合わせれば30ビット分の桁上げになります。

1.       1.32 * 1024 =       1351.68
2.    1351.68 * 1024 =    1384120.32
3. 1384120.32 * 1024 = 1417339207.68


これを2進数表示して、つぎの値を得る事が出来ます。

1.32 (10) = 1.01010001111010111000101000111 ... (2)

実際には、この値の方が正確な様です。

同様の手続きを√2や円周率に適用する事で、2進数表記を得られます。
答えを以下に示しますので、お試しを。

√2 =  1.011010100000100111100110011011 ... (2)
π  = 11.001001000011111101101010100010 ... (2)

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あれーっ、July Amazon店のHP50Gが、売り切れだって !

2016年3月9日水曜日

HP Primeによる複素数のグラフの例

最近はJulyさんのAmazon店で、HP50Gの在庫が5台と少なくなりつつありますが、HP Primeの方は在庫も潤沢な様です。
そこで、Primeの売上に貢献すべく(?)、こんな話題をお届け。
 
HP50G, HP Primeでも複素数の計算が出来ます。

ここでは、HP Primeにて等角写像の例として、Zhukovski 変換を使ったグラフィクスを描いてみましょう。
詳しい内容は、Zhukovski変換を調べてください。

先ずは、変換する前の円の中心座標を定めます。複素平面に描くため、円の中心座標も複素数として設定しますから、複素数を保持できる変数が必要です。デフォルトで利用できる複素数変数にはZ0~Z9までがあり、ここではZ0に(-0.08, 0.15)を設定してみました。
つぎに、変換する円の半径ですが、これはsqrt((1-Re(Z0))^2+(Im(Z0))^2) とします。


変換する円の式をdefineによって定義しておきます。


更に、Zhukovski変換の式もdefineで定義すると、楽に進みます。


最後は、「パラメトリック・プロット」アプリケーションを呼び出し、つぎの様にグラフの式を設定しておきます。アプリケーションの複製を作り、Zhukovskiとでも名付けてやってもいいかも知れません。


後は、Graphキーを押してやれば、変換前の円と、Zhukovski変換にて得られる「翼断面」の図が得られるはずです。






同様の事をHP50Gでも作業できますが、実行速度はHP Primeの方が断然早そうです。

2016年3月8日火曜日

fx-CP400が気になる

先日、前の記事のコメント欄にて、やす 様からCASIO fx-CP400 についてのお知らせを戴き、少し調べてみました。

既に2013年にはGood designを取得している模様で、この頃には販売されていた模様。

graphing scientific calculators [CLASSPAD FX-CP400]
https://www.g-mark.org/award/describe/40156

海外では発売されて久しい高機能電卓ですが、2016年を迎えた今日、日本での販売は行われておりません。
主に教育向けだからの模様です。

webにある情報を見た範囲で、fx-CP400とはどんなモノなのでしょうか ?

まずは、やす 様も申しております通り、タッチパネルとスタイラス、そしてキーボードもあるという興味深いデザインです。
キーボードはテンキーのみと割り切っており、関数キーなどはソフトウェアキーボードで行うという徹底ぶり。見た所、TI Nspireを意識した様なI/Fの様です。
ソフトウェア・キーボードを始め、数式を操作する事に主眼を置いている感じで、それはCASを使う事を意識しているからなのでしょう。

以下のページで、細かい紹介がされております。

Fx-cp400 - TK Notebook 様
http://www.nakamuri.info/mw/index.php/Fx-cp400

製品サイト

ClassPad II(fx-CP400) 
https://edu.casio.com/products/cg/cp2/

英文マニュアルはこちら。

http://support.casio.com/en/manual/manualfile.php?cid=004010003

計算については、RealモードとComplexモードがあるらしく、ComplexモードでCASを使うと複素数根も計算してくれる模様。
また、CASIO BASICも用意されているので、プログラミングもOKです。

縦型大画面のカラー液晶の割に、単4電池で稼働するという辺りはチョット驚きです。連続稼働時間は100時間程度となっておりますが、ENELOOPも使えるらしく、経済性はかなり高め。結構ソソります。

CASを使う事を主眼にしているらしく、「計算結果をその場ですぐに欲しい」という実用性は少ない様子で、実務向けというよりは教育向けの色が濃い。
また、結構高そうな感じもします。(Amazon.com では$149の程度ではありますが)
この辺りが日本で発売されない理由の一つなのかも知れません。

惜しいナァ ... 。