2015年8月27日木曜日

今回は移植ネタ「酔っ払いの虫」

先日、親分からつぎの話題を紹介されたのですが、関連したものを色々と調べている内に、記事のアップが遅れてしまいました。

楽屋裏 - 酔っ払いの虫 (Drunk Bug) - e-Gadget - プログラム関数電卓
http://egadget.blog.fc2.com/blog-entry-445.html

以下では、この記事を「原作」と記しております。まずは、TI-83+への移植を試みました。

TI-83+版のコード

PROGRAM:DRUNK
:ClrDraw
:94/2→V:62/2→W
:While 1
:Pxl-Change(W,V)
:2*randInt(0,1)-1→S
:2*randInt(0,1)-1→T
:If V+S≧0 and V+S≦94 and W+T≧0 and W+T≦62
:Then
:V+S→V:W+T→W
:End
:End

randInt(Begin, End)は、Begin,Endの間の整数乱数を返す関数で、randInt(0,1)は、0もしくは1を返します。
2*randInt(0,1)-1 の部分で、-1, +1の整数乱数にしております。
原作ではMODを使っておりましたが、まったく同じでは芸がないので、少しひねってみました。

今回、Pxl-Change()を使って判ったのですが、不規則ながらもグラフィクスコマンドを使う所で、一部変数の値が書き換わってしまうケースがあります。CASIO BASICと同じ様な感じです。
マニュアルには「ただし、変数X,Y,T,θ,Tはグラフを描く際、更新されることがあるので、グラフ関係以外の値を代入することは避けたほうが賢明です」(ページ A-50)と明記されておりました。

原作の興味深い所としては、酔歩の「移動の等方性」を担保するため、斜め方向の移動のみを行っている所です。
斜め方向の移動は、縦、横の移動と較べると、√2倍の距離の移動になります。縦、横の移動と斜め方向の移動とでは、単位時間での移動速度が異なる事になりますが、縦、横の移動、もしくは斜め方向の移動だけならば、移動の等方性が確保されます。原作の場合、斜め方向の移動のみを行う事で、移動の等方性を確保し、更に視覚的にも面白い表現を実現しています。

直交座標系では、縦、横と斜め移動の等方性について考える事が必要になりますが、四角ではなく六角形を敷き詰めたマス目空間(Hexagonal field)では、黙っていても移動の等方性が確保されます。少し工夫をする事で、直交座標系のピクセル空間にHexagonal fieldを擬似的に表現できます。

PROGRAM:HXDRNK
:ClrDraw
:94/2→V:62/2→W
:While 1
:Pxl-Change(W,V)
:Pxl-Change(W,V+1)
:Pxl-Change(W+1,V)
:Pxl-Change(W+1,V+1)
:randInt(0,5)→D
:(iPart(D/2)-1)*2→T
:2(fPart(D/2)*2)-1→S
:If T=0
:Then
:S*2→S
:End
:If V+S≧0 and V+S≦94 and W+T≧0 and W+T≦61
:Then
:V+S→V:W+T→W
:End
:End 
 
図が必要な事もあり、詳しい内容は、いずれ折を見て述べましょうか。 
 
更に、HP Prime向けコードも。

// title : Diagonal random walk for HP Prime
// begin : 2015-08-02
// note  : 

EXPORT drunk()
BEGIN
// Clean the screen (G0)
RECT();

LOCAL i, p;
LOCAL x, y, v, w;

x := 320/2;
y := 240/2;

WHILE GETKEY() == -1 DO
  p := B→R(GETPIX_P(x, y));
  IF p<>0 THEN
    PIXON_P(x, y);
  ELSE
    PIXOFF_P(x, y);
  END;
  v := RANDINT*2-1;
  w := RANDINT*2-1;
  IF x+v>=0 AND x+v<320 AND y+w>=0 AND y+w<240 THEN
    x := x+v;
    y := y+w;
  END;

//  WAIT(0.1);

END;

//  key wait loop
REPEAT UNTIL GETKEY() == -1;
FREEZE;

END;

実行中に適当なキーを押すと、停止します。更にもう一度キーを押す事で、プログラムの終了となります。
エミュレータで動かすと「爆速」ですが、そんな時にはコメントになっている「WAIT(0.1)」を使ってみて下さい。

お次はHexagonal field版

// title : Hexagonal random walk for HP Prime
// begin : 2015-08-02
// note  : 

EXPORT hexdrunk()
BEGIN
// Clean the screen (G0)
RECT();

LOCAL i, p, d;
LOCAL x, y, v, w;

x := 320/2;
y := 240/2;

WHILE GETKEY() == -1 DO
  p := B→R(GETPIX_P(x, y));
  IF p<>0 THEN
    PIXON_P(x,   y);
    PIXON_P(x+1, y);
    PIXON_P(x,   y+1);
    PIXON_P(x+1, y+1);
  ELSE
    PIXOFF_P(x,   y);
    PIXOFF_P(x+1, y);
    PIXOFF_P(x,   y+1);
    PIXOFF_P(x+1, y+1);
  END;
  d := RANDINT(5);
  w := (IP(d/2)-1)*2;
  v := 2*(FP(d/2)*2)-1;
  If w==0 THEN
    v := 2*v;
  END;
  IF x+v>=0 AND x+v<320 AND y+w>=0 AND y+w<240 THEN
    x := x+v;
    y := y+w;
  END;

//  WAIT(0.1);

END;

//  key wait loop
REPEAT UNTIL GETKEY() == -1;
FREEZE;

END;

HP PrimeのPPL (Prime Programming Language)での注意ですが、「変数への代入には := を使うべし」です。
実は、ピクセル値の値を取得する所で「p = B→R(GETPIX_P(x, y));」とやって、かなりハマってしまいました。
これでは代入ではなく「比較」になってしまうのですが、構文上は問題がないのでそのまま実行出来てしまい、エラー発見に手こずる事になります。


小中学生の皆様はもう新学期だそうで、今更「夏休みの自由研究」でもないのですが、来年の自由研究のネタに使えるかも知れません (鬼が笑うとりますがな)。

2015年8月24日月曜日

ちょっとした話題 - 「演算保留」って、何 ?

昨日、やす親分のコメントに対するレスポンスを投稿した折、yahooけさんく(←変換できない)で「CASIO 電卓 演算保留」というワードで来ていた方が居られる様でした。
「演算保留」って何、と思って、調べてみた所、どうもSharpの電卓で使われている言葉の様で、演算スタックの事らしい。
括弧を使う計算では、その括弧内の計算結果を保留しておく必要があり、その量、というか「深さ」をどれだけ用意しているかで、括弧の入れ子をどこまで許容できるか、という指標の様です。

HPのRPN/RPLでは、この演算保留をスタックで明示的に操作するのですが、RPNでは大抵4段となっています。この4段だけで大抵の計算は十分可能なのですが、その分、計算の手順などで頭を使う事になります。
RPLの方はというと、再帰計算を行う様になっている都合で、スタックはメモリの許す限り取れますが、これに甘えて、計算結果を次々とスタックに置いていき、ある日、SysRPLとかをいじっていてパァにしてしまう事もしばしば ... 。

以上「演算保留」という言葉で書いた「小ネタ」でした !

2015年8月9日日曜日

夏休みの自由研究 #4 - 電卓遊び

どうも、小学4年生から電卓を算数の授業で取り入れているとかで、今回の記事は、小学4年生向けのものです。

まずは、12345679 と電卓のボタンを押します。更に「×」ボタンを押し、1から9までの、好みの数のボタンを押し、「=」を押して掛け算を行います。

ここまでで出た数は、まだ、何の数なのかよく解らない数ですが、更に「×」、「9」、「=」、とボタンを押すと、大変面白い事になります。

中学生くらいの知恵が付くと、この計算の仕掛けが判ってしまうのですが、小学生向けとは言え「この先の話」も用意しているのですよ、当blogは !

まず、上記の計算の「種明かし」から。12345679×9= を電卓で計算します。すると、111111111 が得られます。これに1から9までの数字を1つ選んで掛ければ、ゾロ目の数になる訳ですネ。
掛け算の内では、数の順番を換えても、同じ結果が得られる、という事が判ります。

12345679×9×■ = 12345679×■×9 = ■×12345679×9 = ■×9×123456789

更に、こうした現象が起こるのは、12345679だけなのか、調べてみましょう。

111111111 = 12345679×9 でしたから、今度は11から始めて、次々と桁を増やして行きましょう。電卓で計算します。

11÷9 = 1.222222222
111÷9 = 12.33333333
1111÷9 = 123.4444444
11111÷9 = 1234.555555
111111÷9 = 12345.66666
1111111÷9 = 123456.7777
11111111÷9 = 1234567.888
111111111÷9 = 12345679


最後の計算以外は、どうにも端数が出てしまいますから、憶えておくのも面倒です。
一方、端数の部分をよく見ると、規則的で大変面白い事が判ります。最後の計算、もしかして「12345678.99」だったのかしらん !?

電卓の計算は、計算の桁が限られているので、小数点以下の端数を計算するとしても、途中までで切り捨てになっています。ですから、上記の計算は、正確にはこんな風になっているのです。

11÷9 = 1.222222222222222... (以下、限りなく2を繰り返し)
111÷9 = 12.3333333333333... (以下、限りなく3を繰り返し)
1111÷9 = 123.44444444444... (以下、限りなく4を繰り返し)
11111÷9 = 1234.555555555... (以下、限りなく5を繰り返し)
111111÷9 = 12345.6666666... (以下、限りなく6を繰り返し)
1111111÷9 = 123456.77777... (以下、限りなく7を繰り返し)
11111111÷9 = 1234567.888... (以下、限りなく8を繰り返し)
111111111÷9 = 12345679

ここで、電卓でつぎの計算を行ってみましょう。

2÷9 = 0.222222222222222... (以下、限りなく2を繰り返し)
3÷9 = 0.333333333333333... (以下、限りなく3を繰り返し)
4÷9 = 0.444444444444444... (以下、限りなく4を繰り返し)
5÷9 = 0.555555555555555... (以下、限りなく5を繰り返し)
6÷9 = 0.666666666666666... (以下、限りなく6を繰り返し)
7÷9 = 0.777777777777777... (以下、限りなく7を繰り返し)
8÷9 = 0.888888888888888... (以下、限りなく8を繰り返し)
9÷9 = 1


最後の計算を除いて、全て小数点以下が繰り返しになっております。

0.222222... という数は、2÷9, 2/9の小数点表記である事が判りますが、この0.222222... という数を分数で表現するには、どうしたらいいのでしょうか。

  1. ■=0.22222... と置きます。
  2. 10×■=2.22222... ですネ
  3. 10×■-■=9×■ですが、同時に、=2.22222... - 0.22222.... = 2 と計算できます。
  4. 結果として、9×■=2, ■=2÷9 という計算がわかりました
ちょっと、狐につままれた様な話ですが、細かい事は学校の先生に聞くなどして頂戴。同様に、0.99999... が、1と違うのか、同じなのか、この方法で調べてみましょう。

  1. ■=0.99999... と置きます。
  2. 10×■=9.99999... ですネ 
  3. 10×■-■=9×■ですが、同時に、=9.99999... - 0.99999.... = 9 と計算できます。
  4. 結果として、9×■=9, ■=9÷9=1 となる事がわかりました !

小学生の皆様なら「電卓を使った夏休みの自由研究」というネタで、自分の文章で書かれてみてはいかがでしょうか。


【親御さんへ】
昨今では、100円ショップでも8桁程度の計算が出来る電卓が売られております。
しかし、学校の教材として電卓を買い与えるとなれば、是非とも関数電卓を選択され度 !
昨今の関数電卓は、2000円程度から近場のホームセンターで入手可能です。少し足を伸ばせば、1000円程度で買えるものもあります。