2012年5月27日日曜日

実は意外に使いやすかったHP50g #2

まだまだ使い切れていないHP50gの機能、今回は、Confidence Intervalについて。

Hypothesis testやConfidence Intervalの使い方や、あらましについては、はるまき様Wikiページが大変勉強になりますので、まずはそちらで使い方の基礎をおさえて戴くとしまして、この辺りを少し使うようになると、「データ列を入力して、その計算をしたい」場合が出てくるんではないか、と思うのですね。
例えば、つぎのデータ列のt区間推定(なんて恰好付けてみましたが)をやるには、どうしましょうか、という話題です。

1102 1034 1181 1087 1141 1382 1079

先ずは、[STAT]メニューを押して、[6. Conf. interval...]を選択しましょう。そして、今回のt区間推定を行うには、[5. T-INT: 1 μ..]を選択します。すると、[CONF. INT. : 1 μ, UNKNOWN σ]というタイトルのある画面になり、bar_x, Sx, n, C,と、4つのパラメタを入力できる状態になります。

HP50gの場合、これらの各種パラメタを入力してやる事で、母平均の信頼区間を計算してくれるのですが、各パラメタには数値を入れる様になっています。それをデータ列から簡単に計算して入れられたら便利です (ちなみに、TIの83+の場合、リストによって、データ列を指定して計算出来ます)。

最初は、bar_xの所が選択されていて、画面下には[EDIT][ ][HELP][ ][CANSEL][OK]とメニューが表示されています。ここで[NXT]ボタンを押して、メニューの次ページを出してみて下さい。[RESET][CALC][TYPES][ ][CANSE+][OK]という具合になります。ここで威力を発揮するのが[CALC]メニューです。[CALC]メニューボタンを押すと、bar_xの所の数値がスタックに積まれた状態になり、メニューが[STS][ ][ ][ ][CANSEL][OK]となっています。ここでは、新しいスタック状態で、計算が出来るのです。

Confidence Intervalの機能を呼び出したのに、データ入力がまだでした。そこで、今、この状態でやってしまいましょう。再び[STAT]メニューを押し、一番上の[1. Singel-var..]を選択して、1変数統計計算機能を呼び出します。[ΣDAT]の所にMatrix Writerでデータを入力しましょう。こうして入力したら、最初に欲しいのはデータの平均値だったので、[_Mean]にチェックを入れて[OK]を押します。すると、「:Mean: 1143.71429571」というタグ付き数値がスタックに積まれます。後は、タグを手で削除する手間が必要ですが、それほど面倒ではないでしょう。
そして、メニューはいぜんとして、[STS][ ][ ][ ][CANSEL][OK]となっています。これで平均値のデータは得られたので、[OK]を押します。すると、先程の[CONF. INT. : 1 μ, UNKNOWN σ]タイトルの画面に戻ります。
後、同様にSx (標準偏差。[_Std Dev]で計算)、n (データ数、ΣDATを呼び出し、SIZEでデータを調べられます)、C (信頼度。これはユーザーが必要に応じて決めるものです)をひと通り入力、[OK]を押せば、t区間推定を計算してくれる、という次第です。
なお、他のメニューを出してしまい、[STS][ ][ ][ ][CANSEL][OK]というメニューになっていなくても、[Left-Shift][ON] (=[CONT])と押せば、[STS][ ][ ][ ][CANSEL][OK]メニューに復帰します。そうしたら[OK]を押せばいいのです。

参考までに、上記データで計算させた結果を示しておきます。

bar_x: 1143.71428571
Sx: 115.006832095
n: 7
C: 0.95

----------

Critical T=±2.446912
  μ Min = 1037.351
  μ Max = 1250.078

上記データ列の平均は、およそこの区間に、0.95程度の確率でありそうだ、ちう具合です。

HP50gの各機能は余り高いものではなさそうですが、組み合わせる事で威力を発揮するもの、と言えそうです。少々手間は掛かりますが、なかなか、面白いでしょう。お試しあれ。


2012年5月6日日曜日

100円ショップで関数電卓が売られる日

100円ショップには、実に様々な製品が置かれております。中には糸ノコ、カナヅチ、半田ゴテやワイヤストリッパまであります。もちろん、それらの造りは、日本製品と比すると若干、劣る部分はある様です。
しかし、そうした製品が外国で製造され、100円ショップなどで販売されている。ここに注目なのです。
PC用の製品でも、光学式マウスやUSBカードリーダーなどあり、プリンタ用インクもあります。多くの製品は中国製で、やはり造りがゾンザイ、といわれておりますが、それでも、こうした製品が製造され、日本にも輸出されている。

戦後の日本製品は、余り造りの良いものばかりではなかったそうです。しかし、メーカーは製品改良の努力を続け、今日の「日本製品」を作り上げて来た。しかし、メーカーのシャチョーは、そこにあぐらを掻いてしまったのか、製品改良の努力を行わなくなり、更にはリストラと称して、正社員を切り捨ているなどしている。それは、「実際に手を動かして開発、製造する部分はもう、そこそこで良い。販売も、今はそれなりの日本ブランドだし、海外では努力しなくても売れるから、営業職もそんなにいらないよね」という経営判断であります。

そんな日本製品には未だ、及ばないのかも知れませんが、一所懸命に海外のメーカーも製品開発を続けている。それは、かつての日本メーカーがやっていた事であり、そうした努力の積み重ねがあってこそ、今日の日本製品があるのですが、今日の日本の大企業はそうした努力を行う方向の経営をしなくなってしまった。しかし、海外のメーカーはそうした努力を始め、これからも続けて行く。

続けるということは大変な努力です。そうして「うさぎとかめ」の話よろしく、いずれは海外のメーカーでも、より良い製品を出してくる。実際、Pomeraに使われている液晶は、中国で「電子書籍ビューワー」用の安価なものだと言います。それは大量に製造されているから安価になっているのですが、大量に製造されているというのは、中国国内を始め、大量の需要があるからです。
また、Gigazineにも出ていますが、iPhone向けの液晶パネルも、中国で製造されているパーツを独自に調達して、iPhoneの修理を行っている会社があるそうです。既にマザーボードの大手・ASUSなんかも台湾社であり、PCやAndroidマシンまで繰り出していますが、中国もハイテク製品を大量に供給している。iPhoneのFoxconnの例もありました。
今や、日本以外の外国メーカーも大量のハイテク製品を製造、供給している。

今はまだ、100円ショップでは、8桁の電卓くらいしか販売されておりません。それは、8桁の電卓カーネルが安価に製造できるからなのでしょう。ワンチップで作れる。そして、需要に応じた供給となっている。
所が、「0発明の国」インドには多くの人口があり、それが工業産業に雪崩をうって参入し、中国の人民の海も参入する。これらの国々は、教育水準もより高い必要があり、様々なIT製品を開発、製造しているのです。その一端とも言えるのは、HPの39gIIと言えます。

http://www8.hp.com/jp/ja/products/calculators/product-detail.html?oid=5154837
http://www8.hp.com/jp/ja/products/calculators/product-detail.html?oid=5160480

何が驚くと言って、ヘルプに中国語が出るんですよ。製品の主要なソフトウェアはアメリカのHPで開発しているのでしょうが、製造はSykes有限公司(中国)で行っている。39gIIは「中国にも向けて」製造されているという事で有ります (日本語は出ない ... のか)。

今は100円8桁電卓くらいしか100円ショップにはありませんが、今後は、中国やインドなどの大量の人口に訴えかけるため、数値計算のリテラシイ教育に資するべく、「100円関数電卓」なんてものが出てくるのではないか、と。
国産の関数電卓は、確かに性能は良いのですが、1000円くらいの値段です。「電卓をそこまで安くする必要はないのではないか」という意見もあるでしょう。しかし、売れないから、元をとるための価格として、現在の1000円という状態に落ち着いている。また、売られているのは量販店の店頭とか、あまり目に触れない場所ばかり。
しかし、100円ショップで100円、いや、315円でもいい、売られているとしたら、どうでしょうか。ポイポイと買い物かごに入れて、それこそ、ほかの雑多なお菓子とか一緒に「つい安いので」お買い上げ、となりはすまいか。で、子供が100円関数電卓をいじり倒して、数値計算に興味を持つ、それこそが教育の効果であると思うのです。

そんな事を、極東の島国の一角で、ロクな考えを持たない孤老が「危惧」しておるわけです。さて、どうなるんでしょうか。出たら、面白いなぁ。